愛する我が祖国の為

体育祭

「っ危ない!!」
 赤いランドセルを強く推す。歩道で転んだ女の子、左から来た衝撃に身体は吹き飛んだ。


「先生、轍さんがまだ登校していないです」
 体操着に着替えて時間までに控室に集合。朝のHRはその一言で終わった。後ろの空席に八百万が先生に伝えた。
「轍は登校中、子供を庇って車に轢かれた」
「えぇ!?だ、大丈夫なんですか!?」
「命に別状なし、意識ははっきりしているが今検査中だ。問題なけりゃ途中で来るだろ。最初の競技には間違いなく間に合わないってことで、体育祭は出場しない。あいつの心配するのは構わないが、それで体育祭疎かになんなよ」
 以上、と相澤先生は今度こそ教室を出ていった。
(……轍、いねぇのか)
 緑谷の次に脅威だと思っている人物、轍錬。最初の戦闘訓練ではまともに戦闘していないし、その後も轍の全力を知る機会が無かった。轍を知れる最も良い機会だと思っていただけに残念で仕方ない。…残念?
(クソ親父が観に来るんだ、轍のこと考えてる場合じゃねぇ)
 心が冷える、そうだ、アイツが態々観に来るんだ。右だけで1位になって、お前を否定してみせる。


 個性の訓練しすぎによる発熱で無様に欠席、というのを想定していた。リカバリーガールは疲労を対価に治すわけだから、疲労を蓄積した状態ならきっと治さないだろうというのを見越したうえでだ。高熱、疲労、ダブルパンチでふらふら状態のまま登校したはずなのに、そういう欠席の仕方は想定していなかった。
「……寧ろ違和感なくミッション達成できたからいいか」
「いや馬鹿か、馬鹿なのか。そして何故サラッと病院出ているんだお前は」
タクシー運転手に成りすまし運転している幼馴染に遠慮なく罵倒される。今は仕事モードではない、幼馴染モードだ。
「熱は、怪我は」
「怪我のせいで寧ろ熱上がったけど風邪じゃないし、じっとしてりゃ問題ない」
 左腕は骨折、頭は咄嗟に庇ったから怪我はないけどその庇った右腕も捻挫で包帯だ。左腕は首から吊り下げてるけど右腕は包帯だけ巻いて吊り下げていない。切り傷で頬にもガーゼが貼られている。
「今日は体育祭終わったら家で休めよ」
「今週分のチェック終わってねえ。それに今ヒーロー殺しが保須にいるだろ。ステインとヴィラン連合に関係性があるかの」
「いいから帰って寝ろ。今から家に帰してもいいんだぞ?実家の方に」
「実家はマジでダメな奴」
 両親は自由奔放に育ててくれたが心配性だ。この状態で帰ったら間違いなく1週間は外に出られない。半分自業自得なだけあってそれは流石にダメだ。
「返事」
「…はい…」
 幼馴染モードの風見は有無を言わせない。今の状態も相まって反論もできない。行けるだけマシか…。
 会場に着き、会場外からも競技が見えるよう設置されたモニターを見上げる。今は第2種目の最中か。この後お昼休憩の筈だから、そんときに相澤先生に声をかけよう。会場に入って第2種目の騎馬戦が終わるのを待つ。1-Aは私を除いて全員第2種目に進んだようだ。騎馬の組み合わせが中々面白い。轟の騎馬とか個性だけ見れば強すぎるだろ。飯田で早さ、八百万で防御と臨機応変な創造、上鳴で威嚇、轟で攻撃、全て兼ね備えている。爆豪のところも悪くはない騎馬だ。何より瀬呂がいい。飛んでいった爆豪を引き戻せる。切島は完全防御枠だろう。芦戸は恐らく轟対策かな。ちと弱いけど。あの場に私がいたら轟の騎馬に対抗できるもの全部持ってるから、ある意味人気者になれそうだ。氷を吹き飛ばす衝撃波、方向を変えて電気を流れさせない電磁波、飯田のスピードにも衝撃波でついていけるし、なんなら音波で行動不能にもできる。緑谷の騎馬は特徴的だな。というか1人見たことない奴いるぞ。サポート科か。すげえとこと組んでんな緑谷。あと中遠距離に置いてチートともいえる常闇と組んだのも良い。ダークシャドウの弱点は光。爆豪と轟とは相性が悪いけど、轟はまず左は使わないから脅威ではない。恐れるべきは爆豪のみ。その爆豪は鉢巻とられて緑谷を視界から外している。更に常闇を攻撃ではなくあくまで防御として使い鉢巻を取りに行かせないという点もナイス判断だ。第1競技での順位とかなんで緑谷の騎馬だけポイントがアホみたい高いのかとか分からないけど、ポイント死守に努めるのは素晴らしい。一番問題なのは、緑谷自身だけども。
(怪我していないってことは、第1種目で個性使ってないのか)
 短期間であれを克服したとは思えないし。
 緑谷は結局ポイントを死守できず、しかし常闇の機転により4位通過。最終種目への出場権を得られた。
 観客席から離れ相澤先生がいる放送室へ来た。プレゼント・マイクが出てくる。
「お!リスナー無事だったか!」
「おつでーす。相澤先生いますー?」
「イレイザー!轍来たぞ!」
 放送室内に声をかけると、未だミイラマンの相澤先生が出てきた。
「怪我しちゃいるが、問題なさ…お前熱あんのか?」
「え、何で分かるんすか」
「顔がいつもより少し赤いぞ」
 動いた所為で熱上がったか?面倒だな。
「怪我のせいだけじゃなくて、いやー実は昨日個性の最終調整してたらやり過ぎちゃって、そのまま熱出ちゃったんすよ」
「馬鹿か。はぁ。熱あっちゃ体力落ちてんだろ。治療してもらえるか分からねえがばあさんとこ顔出しとけ」
「はいー」
 言われた通りリカバリーガールのところに行くか。熱より腕を治してもらいたい所存。
 お昼休憩で人がごった返すから裏道を通って治療室を目指す。その道中で怖い顔した轟と出くわした。
「すっげー顔してっぞ轟」
「!…轍、無事だったんだな」
「おー、今からリカバリーガールんとこ行くんだぁ」
「そうか、じゃあな」
 いつも以上に怖い顔してピリピリとした空気のまま轟はさっさと行ってしまった。うん、あっちの方が轟っぽいのにこれまでの彼の態度を考えると違和感はある。要するに思っていたより人間っぽかったんだよな。あれだけピリついてるってことは、父親関係か。
(…ここが正念場だぞ、有精卵)
 爆豪は氷だけじゃ倒せないだろう。彼はそれだけ強い。氷だけで上を目指すということがどういうことか、彼はまだ分かっていないのだ。


 その熱と疲労じゃ治癒できない。もっとしっかり休んでから。ベッドに寝かされそうになったけど、どうしても第3種目を生で観たいと駄々をこね治療室を出た。めっちゃため息つかれた。申し訳ない。
「錬ちゃん!」
「やー梅雨ちゃーん!」
 私を見つけた蛙吹が近づいてきた。私もよろよろ近寄った。
「怪我してるのね、リカバリーガールに治療してもらった方がいいわ」
「それがさぁ、今日の為に昨日最終調整してたら熱中しすぎて、そのせいで熱出るわで今朝の事故だったから疲労溜まってて。もっと回復してから来いって言われちった」
「それなら帰ってしっかり休んだ方が良かったんじゃない?」
「クラスメートの勇姿を生で観たい私の我儘でございますよ梅雨ちゃん」
「錬ちゃんって馬鹿ね」
「解せぬ」
 蛙吹につれられ1-Aの席に着く。先にいたクラスメートからも「怪我大丈夫か?」と心配されながら同じように答え座った。右に蛙吹、左に耳郎が据わる。耳郎の隣には八百万が座っていた。
「第2種目が騎馬戦だったんだけど、轍いないのにモテモテで笑った」
「何がどうして何が起きたのさそれ」
「轟さん、騎馬を組むときに「そういえば轍はいないんだったな」と言っていましたわ」
「ばくごーも「爆風女いないんだったな」ってめっちゃ舌打ちしてたよ!」
 後ろの席から身を乗り出してその爆豪と組んだ芦戸が言う。だから何でそんな私を求めた。
「錬さんの個性なら攻撃・防御・スピード全て兼ね備えていますし、轟さんにとって敵になったら脅威だからじゃないでしょうか?」
「轟の騎馬に上鳴いるって気づいてたから、ばくごー多分上鳴対策で組みたかったんだと思うよ」
「ウチも上鳴対策ならヤオモモか錬選ぶわ」
 電磁波で電気の流れを変えられるからか。轟対策じゃなくて上鳴対策ってあたり爆豪のみみっちさを感じる。ちゃんと周りの騎馬見てたんだな。
 開始までの時間第1種目の障害物競走と第2種目の騎馬戦の話を聞いて過ごす。そして始まったのは緑谷vs心操の第一線だ。
(…洗脳か。しかも彼の場合諸伏のように相手のメンタルは関係なさそうだ…ヒーロー目指してくれて良かったよほんと)
 あれがヴィランにいて話術極めてたら厄介だ。目指しているのがヒーローで本当に良かった。しっかり個性を掛けられた緑谷だったが、どういうわけか個性を発揮でき洗脳が解ける。…あれもワン・フォー・オールのおかげなんだろうか。心操は結局身体能力負けした。ヒーローになるなら体術も必須だよ少年。
 続いての轟vs瀬呂の戦いは、派手さが勝った。轟の氷の全力がこれってことか。会場整備で分かるほど溶かすのが大変だ。強い個性、ただし繊細さが無い。爆豪も派手だが彼は頭脳派だから、轟は見習った方がいいと思う。いつか言われるぞ、派手さと個性の強さにかまけて動きが大雑把だって。
(轍の個性なら轟も瞬殺だぞ。特にこういう開けた空間なら)
 つっても轍は調整が苦手ってことになってるし身体能力もクラス内じゃ低い方だ。轍錬という人間は轟には勝てない。それで良い。
 飯田vs発目は発目にいい様に使われた飯田の勝ち。発目の強かさは凄いな。サポート会社の未来を是非ともになってもらいたい。塩崎vs上鳴は上鳴の驕り負け。自分の個性が誰相手に有利か不利か、理解したほうがいい。八百万vs常闇は中・遠距離攻撃に特化した常闇の圧勝。しかも相手に怪我させないような配慮も踏まえて、圧勝だ。あの時盾を出さずライト系を出していれば結果は変わっていただろう。芦戸vs青山は芦戸の身体能力が光った。このクラスの女子で一番身体能力高かったはず。というかこのクラスの女子は些か個性に頼り過ぎている節がある。素の身体能力を上げないといざというとき大変だぞ。芦戸はその点中々良い。切島vs鉄哲は互角も互角。…個性駄々かぶりで互角ってのも中々凄いな。鉄哲は酸に弱いとかあるんだろうか、スチールって錆び易いよな。芦戸と相性が悪そうなイメージ。切島は相手の動き見て硬化する部位とタイミングをもっとしっかり図れれば、この試合も勝てただろう。一々全身硬化しなくていいだろ。相手の目線、動きを見れば読めるぞ。つっても単細胞っぽいから難しいか…。
 爆豪vs麗日。耳郎が隣で不安げにステージを見ている。「もう見てらんない」と顔を手で覆うも気になるのだろう、指の隙間からしっかり見ている。
(麗日お茶子…思ったよりタフネスだな)
 触れれば勝ち、そうだろう。しかし今の麗日には相手に触れられるだけの体術も身体能力もない。加えて才能人間の爆豪が相手なんだ。厳しすぎる。爆豪も爆豪で舐めてかからず丁寧に対応している。相手がどう出るか分からないからこそ、力でごり押ししない。あの個性であの性格で頭脳派戦闘スタイルとかギャップが凄い。だからこそ“強い”んだけどな。爆豪へのブーイングが出始めた瞬間、プロヒーローの席を一瞥する。
(相手が今何を企んでるか見極めよ、とかいう試験用意したらあいつら落ちるだろうな)
 念動さんと人形さんと密かに企てている「ヒーロー試験」。ヒーロー免許を持ったもの向けに今一度オリジンを見直してもらい、プロヒーローの底上げと協調性を図る目的がある。今後事務所を作るとき若しくは独立するときは、この試験を合格しなければならないということもあり得てくるだろう。故に現在事務所を持つヒーローは必ず受けなければならない。実現するか、するとしたらの試験内容、その辺りはいま詰めている最中だ。幹部会とジャッジで承認されれば、あとはヒーロー法律に組ませて終了。一度試験的にやってみることはあるかもな。準備する側に不備が無い様に。
 粘りに粘ったが麗日のスタミナ切れで爆豪の勝ち。励めよ少女。
 そして2回戦最初を飾るのは緑谷vs轟。間違いない、緑谷は轟にとって良い影響を与えてくれるだろう。
(降谷、よく見とけよ…彼が“緑谷出久”だ)
 氷でさっさと蹴りをつけようとする轟。怪我も厭わず氷を砕き応戦する緑谷。2人の会話はこちらまで届かない。
 緑谷の強烈な蹴りが轟に入った。耳郎曰く、轟が緑谷に宣戦布告したらしい。オールマイトに気にかけられてる緑谷だからこそ、ってところか。轟家も色々拗らせてんな…。そして、その時は来た。
「…ホォ、綺麗じゃないか」
 思わず小さく呟いた。彼の左側から出たのは綺麗な赤い炎。あんなに綺麗なもん出せるのに。一概にエンデヴァーが悪いとは言い得ないけど、轟のネックはやはりエンデヴァーだ。
 雄英、というより1-Aは大変恵まれている。仮に緑谷がここで彼の心を開けなくても、いずれ相澤先生が彼を導いただろう。相澤先生はそれだけ生徒をよく見ている。爆豪と麗日戦のあれがいい例だ。家庭の事情ほど厄介で面倒なものはないし、親がNo.2ヒーローなら尚更言い辛いだろう。相澤先生ならそれすら関係なく、ヒーローとしてあるべき姿を諭してくれるはずだ。…私随分イレイザーヘッドを買ってるな。なるほど、降谷が心に引っかかるのも分かる。イレイザーヘッドはヒーローとしても教師としても良くできた人間だ。


 体育祭の終わった会場は酷く静かだ。1時間前までは控室を利用していた生徒も、今頃本校舎かもうすでに下校しただろう。正面に座るオールマイトににっこりと笑顔を向ける。
「ヒーローとして長いこと活動していますが、特務公安省の方とこうして話す日が来るなんて思いませんでした」
「こちらも、まさかオールマイトと“このような”話をする日が来るとは努々思っていませんでした。改めて、特務公安省の工藤と申します」
 俺よりも他の4人の方が適任だ。それでも俺が選ばれたのはいたって単純。4人がここの卒業生だから。しかも教師陣に同級だの後輩だのがいれば、見つかった時が問題だ。「変装すりゃ解決すっけど、こういうのも経験しておけ」と橘さんに命令された。
「“このような”話?」
「単刀直入にお話しします。貴方がヒーローとしての活動に限界を生じてきているのではないかと、我々は考察しています」
 ギクリと大きく肩を揺らした。頬の笑みがぎこちない。身体が少し硬い。
「限界だなんて!そんなことないさHAHAHAHA!」
(橘さんの言ってた嘘がつけない良くも悪くも素直な性格、よく分かった…)
 確かにこれだけ分かりやすいと生徒の贔屓は一発で分かるだろう。隠し事できないタイプだ。
「事実かどうかの話は今回の論点ではありません。元々は「活動限界を感じているなら引退の準備を」と勧告しにきたんですが…USJ事件がありましたからね。貴方が狙われている以上、ここで引退するのは雄英の為にも、襲われた生徒の為にもならない」
「…では君…貴方は私に、何を話しに?」
 一回りも年下ではあるが立場はオールマイトより上。ちょっと下手な敬語に自分もこう見えて居たら直さないとなと思った。人の振り見てというやつだ。
「今話した我々の考察を伝えに来ただけです。平和の象徴としての活躍は感謝しています。だからこそ、ヴィランとの戦闘の最中に崩れたら、人々に不安を煽ります。ご自身の持つ影響力は分かっているでしょう?USJ事件が無ければ忠告していました。免許剥奪は引退より最悪ですから」
 引退だけなら教育権はあるし、万一の個性の使用は認められる。だが免許剥奪はそれら全てが認められない。
「上司はこう言っていました。「次世代のヒーロー育て、熱心なのは構いませんがあなたの様な一本柱は日本の為にならない。是非支柱を増やしてほしい」と」
「………」
「話は以上です。お時間ありがとうございました」
 オールマイトは考え込んでいる。やはり、橘さんの報告通り弱体は事実なのだろう。オールマイトを1人残し控室を出た。


 無事に家まで帰れるか心配、という蛙吹の心遣いで昨日は蛙吹に送ってもらった。蛙個性の彼女の体温は低い。ひんやりするー!と手を握ったら振りほどかれることなく、手を繋いだまま家まで帰った。
(……裏のない感情で誰かと手を繋ぐなんて初めてだ…)
 両親は自由に生きていいと言った。とはいえ政治家一家だし私自身も何かと誘拐だの殺害未遂だので下手に公立高校へは行けない。親が同行ではなく、自分がしたいことをするためにはやはり上に行くのが一番手っ取り早いと、早々に官僚を目指すことにした。日本一の金持ち学校であり、権力者を親に持つ子供が通う私立の中高一貫校に通った。偏差値日本一、身体を動かすことより頭脳を育てる学校。カリキュラムも政治経済周りが多く、世界を相手にできるよう英語以外にも複数言語、その他色々とまあ、当時は知らなかったけどかなり変わった授業をしていた。権力者に相応しい人間を育てる、まさにそんな感じ。したいことの為にヒーロー資格を取りヒーロー活動を経験しておいた方がいいと分かっていたから、独学でヒーローの勉強をし1年の6月の仮免試験はさっさとパスした。学校柄、教員からはあまりいい顔されなかったけど当時もヒーローの地位は確実なものだったから表立って言ってこなかった。言えばどこから何言われるか分かったもんじゃないしね。
生徒も親を継ぐ為とか政治家になる為とかで意識が頗る高かった。故に入学してから始まる腹の探り合い、派閥作り、自分が如何に将来有益な人間であるかの誇示。くっそ面倒だったのをよく覚えている。だから今日みたいな、何も考えず手を繋ぐことなんてなかった、し相手もいなかった。
(心からの心配だって信頼できるって、楽でいいな)
 何か企んでるのではないか、見返りを求めているのではないか、そういうのが一切なかった。いやきっと彼女らにとってはそれが普通なのだ。
(いかんな、10も年下相手に、…いや歳は関係ないか。このぬるま湯の生活過ごしてたら、後で戻れなくなりそうだ)
 轍錬はいずれ死ぬ。元々いない人間なのだから。橘夕との線引きをはっきりしておかなければ。