欺瞞の理由とは
みな交換ノートで悩みや相談をしているという。
喧嘩もしてないし困ってることもない、
至って順調な本丸生活。
でも交換ノートをしてみようかな。
「主の刀だから」
理由なんてそれだけで十分。
主要人物
山姥切長義
本編の主人公。女性体の写しに驚きはしたもののその後は他の同位体同様な態度・発言をしていた。が、図々しさも憎たらしさもなく柔らかな雰囲気かつ修行前でありながらコンプレックスを抱いていない写しには好印象。会話のテンポもいいし一緒にいても心地よさすら感じるので結構気に入っている。「持てるものこそ与えなくては」を写しにも出来るので日々充足している。
特命調査にあたり顕現された個体なので、研修は受けたが政府刀剣として働いたわけではない。そのため政府時代に識別名がない。
山姥切国広
初期刀な女性体をしている小柄な写し。鶯丸のような気にしなさと山伏国広のような快活さを兼ね合わせた穏やかな性格。身にまとっている白いボロ布で顔色が他の写しより見辛い。本人もあまり顔を見せたがらないので、正面から見たことがあるものはほぼいない。しかし声色が表情豊かなので顔が見えずとも感情が分かる。
珍しい女性体のせいで連れ去られかけたことが何度かある。本刃以上に気にした主が「必ず誰かと同伴で出かけること」などの制限をかけられた。出不精な一面もあるようで演練含め外に出ることはほぼない。
主が姿を表さない理由を知っているらしい。主からの指示を代わりに飛ばしている。
金糸雀
本編時点で20歳。
顕現時や契約時以外姿を見せない女性審神者。頭をすっぽりと布で隠している。初期刀を筆頭に堀川派が世話をしている。顔を見たことがあるのも声を聞いたことがあるのも堀川派だけ。
戦場での采配は優れており、ノートを通して刀剣達との交友はあるので刀剣達との関係は良好。橋渡しや代理の指示は山姥切国広を通している。
真相
金糸雀が初期刀として選んだ山姥切国広は、顕現してみると何故か既に修行済みだった。こんのすけと金糸雀は「恐らく職員のミス」と判断。
政府へ伝達する前に国広の様子がおかしいことに気付いた金糸雀が話を聞く。どうやらこの山姥切国広は「改変された歴史の先で顕現した刀剣男士」だという。主たる審神者の代わりに政府へ赴いたら記憶にある政府と違った、帰ろうとしても自身の本丸コードは存在しない。政府へ事情を説明し分かったことがそれだった。そして──主は本来存在しない人間だったと知る。存在しないとされた主、主が消えたなら当然のように消えた仲間たち。国広だけ逃れたのは恐らく正しくなったタイミングが政府へ移動していた、転送装置を利用していたことで巻き込まれなかったのではないかと推測されているという。転送装置は時空間移動を可能にするものだったからこそ、時空の狭間にいた一瞬で"運悪く"巻き込まれなかった。
守るべきと思っていた歴史は違うものだった、主は存在しなかった、その衝撃と絶望、途方もない疎外感。刀解を望めば改変された歴史の先の存在だから本霊へ還るか分からない、むしろ還したことで問題が起きないかと刀解は出来ないと言われる。ならば戦場で折れてしまおうにも、折れた刀剣は本霊へ還るから同じだと戦場にすら行かせてもらえない。極め済みで主への忠誠心の高さから歴史を変えて元いた本丸を取り戻そうとするのではと、あらぬ疑いをかけられ仕事1つももらえない。与えられたワンルームは牢獄よりはマシでも交流すら許されなかった。
いっそ消えてしまえば。付喪神の、ただの分御霊であってもそれなりに力はあるはずだと、顕現をとき自己暗示のように自身へ「消えたい」と言霊を投げかけ続けた。意識がなくなったから漸く消えられたと思ったが、実際は霊力不足で顕現がとけただけだった。消えるために霊力の供給を遮断していたのが裏目に出たらしい。
どういう経緯で初期刀として本丸に来たかは、意識がなかったから分からないという。しかし政府へ戻ったとしてもまた同じ生活が待っているだけ。何のために戦えば良いのかわからない。どこに在れば良いのかもわからない。刀解すら許されず、折れることも出来ず、どうすればいいんだ。死んだ親を求めさまよう迷子の子供のようにこぼした国広は、自身へかけた言霊のせいで山姥切国広としての存在すらも危うい状態だった。
為す術がなく途方に暮れた国広に、金糸雀は提案をする。
「なら、審神者のふりをしてここで生活してみる?」
君が良いというなら、私が君の刀で山姥切国広として、初期刀としてサポートしよう。刀剣男士であれば嫌でも過去に遡り歴史を護るべく戦わなければならない。しかし審神者は、言い方はあれだがただの指揮官。初期刀として近侍を勤めつつ主の代理として指示をすれば他のものには気づかれないだろう。ふり、をする都合上手入れの時は出てきてもらうけれどそれ以外は離れで好きに過ごして構わない。消えるまでの残りの刃生を、主やかつての本丸に思いを馳せながら過ごしてもいいんじゃないかな。
人間が刀のふりなどできるわけがないと通常なら気づくはずだった。しかし生きることにすら投げやりだった国広は「場所が変わっても同じことだ」と同意。むしろ、あわよくばそのまま戦場で折れたならと期待していた。
審神者の味方でサポート狐のこんのすけは、金糸雀が遡行軍と戦えるなら国広を隠すことや互いに成り変わることを他言しないと約束した。ただの人間、それも女性には土台無理だろうと思っていた。国広もきっと無理だろうから金糸雀の死後に戦場駆け巡れば良いかと考えていた。
鍛刀はせず刀装だけつけて戦場に向かう1人と1振りと1匹。そこで見たのは剣士さながら刀を揮う金糸雀の姿。太平の世の現世で過ごしてきた女性にしては明らかに場馴れした空気感、的確に最小限の動きで首を切り落とす刀捌きは、本来の持ち主である国広ですら感嘆の息を漏らすほどだった。
「これでも、死線は掻い潜ってきたんだ。びっくりしたでしょ」
にこりと笑う彼女の足元に散らばる遡行軍の亡骸。約束守ってねとこんのすけに向ける笑みから、血の付いた刀を振り払い鞘に納める滑らかな動きが出来ると想像できない。
金糸雀と国広は互いに成り代わり本丸生活をおくることになった。こんのすけは「こうなったら徹底的に!」と一周回って意欲的に協力した。流石に男性のふりは難しい、刀剣男士ならぬ刀剣女士が極稀に顕現することは政府も確認済み。神気の有無でバレないよう国広の服を整えて使用。白い布もまた国広の一部、それで覆い隠せばひと目で人間だとはバレないだろう。髪色は染めて目の色はカラコンで、念のためにまやかし系の術を組み込んだ札を持っておいて……と途中からはむしろこんのすけの指示に従っていた。
顕現や契約時に審神者のふりをする国広の隣に、あたかも近侍のふりをして立っていれば意外と上手くいった。手入れで国広扮する金糸雀が常にそばにいるのはいずれ怪しまれるかもしれない、とこんのすけが言えば、なら手入れすら必要ないように采配すればいいよね、と怪我を負わない采を揮うようになる。たまに大胆な戦略で切り拓く様を国広とこんのすけはハラハラしながら見守っていた。
御神刀や霊剣、その他刀剣の性格などを鑑みて顕現を制限する。堀川派の顕現は賭けだったが全くバレる様子がなかった。しかし2振りの顕現に思わず小さく零した「会いたい、な」を金糸雀はしかと聞いた。だから2振りには特例で主扮する国広と自由に会えるようにした。詳しい事情は説明していない。金糸雀はただ国広のふりをして「あわせたいやつがいる」とだけ言って離れに連れて行った。
国広が2振りにどこまで話したか分からない。ただその後、堀川と山伏と3人だけになったときに「主が戦場に出るのは複雑だけど、主に揮われてる兄弟が少し羨ましい」と言われたから互いに成り代わってることは知られているようだ。やがて2振りは「兄弟と、あなたのために」と修行へ向かった。極めた兄弟から「おそろいだね」と言われてから、国広の顔色は幾分か良くなったような気がした。
2振り以外にも修行に行ける刀剣はいた。しかし申請したのは2振りだけ。主への忠誠がないからというより、見極めている側面のほうが強いのだろう。いくら戦闘出来ていたとしてもそもそも人間と刀剣、価値観が根本的に違う。何かしら感づかれているかもね、と金糸雀は笑いながらこんのすけに話す。こんのすけには政府に気づかれないよう手を回してくれているので頭が上がらなかった。
本丸生活の中で主との交流に際し交換ノートや手紙で返答していたのは国広だ。金糸雀も読んではいたが、外との交流がない国広を思って金糸雀は国広に任せていた。国広からの返答が人間の主が考えたとは思えない内容もあったことから、堀川派以外の刀剣達は「主が刀剣男士なのではないか」と予想を立てている。顔を出せないのは「刀剣男士が刀剣男士に仕えるなど」とネガティブな思考から、自分から離れていくのではないかと不安になっているのではないか、と。刀剣達は主が刀剣男士であろうが人間であろうが、極論人外であろうが慕っているので全く問題ないと考えている。初期刀含め堀川派だけが会えるのは、主が堀川派、もっというならそういう考えをして姿を現さなそうな山姥切国広が主なのでは、とまで予想している。成り代わってるまでは気付いていない。
1年と少し月日が経ち、特命調査「聚楽第」後に配属された長義に一番慌てたのは国広だ。かつての本丸にも同じくいたという。今回初めて登場した刀剣男士であったが、国広のいた世界線だと初期刀の1振りが山姥切長義だったらしい。国広のいた世界線だと、先に長義がいれば「俺の写しでありながら写しであることにコンプレックスを抱いている」ことに、先に国広がいればそこに加えて「山姥切と認識されるべきは俺」と2振りの関係に不和が生じていたらしい。こちらでは初期刀は入手しやすいが、あちらでは初期刀は戦場や鍛刀では出ず、入手方法は政府からのみと天下五剣より入手困難な扱いをされていたという。国広のいた本丸は国広のほうが先にいて長義が来たのはその半年後。1月に行われる特別任務を熟すと報酬として顕現が確認された刀剣男士の中から好きな1振りがもらえる催し物を利用してお迎えしたという。当然、長義との不和はあった。
本歌山姥切と肩を並べて、背中を預け合って戦いたい。しかし今の自分は練度差どうのではなく己の在り方として隣にすら立てない。その思いから国広は修行に行った。己を見つめ直して、写しであることは変えようのない事実なのだから、同じ本丸、同じ主に仕える1振りの刀として、共に戦いたい。そうけじめをつけた。しかし残念ながら様々な事情から共に戦場に立つことは1度たりとも無かったという。
交換ノートや手紙を通じて主と交流していると知った長義は、困り事や喧嘩があったわけではないが主を知りたいの一心で自身も交換ノートを始める。金糸雀から渡された交換ノートに国広は苦しんだ。もちろんこれまでも主のふりをして返事をすることに罪悪感はあった。しかし今回は、何よりも自分自身が、自分の言葉で、山姥切国広として返したいと思ったから。なかなか返事ができない国広に見かねた金糸雀は助け舟を出す。
「交換ノートは私が返事するよ。君は彼に手紙を書くと良い。ノートに「知り合いの山姥切国広から」とか、いい感じに添えてあげるから。自分の言葉で、好きに書いてご覧。本当に伝えたかった相手じゃないかもしれないけれど、同じ山姥切長義なら君が知りたかったことも何か知れるかもよ」
金糸雀の言葉を受け国広は長義へ手紙を認める。何度も書き直し推敲に推敲を重ねて、金糸雀が既に返事を書いた交換ノートに挟んだ。
本編は長義の日常や、長義と2人の"国広"の交流がメイン。
最終的に、「修業を経て戻った」というていで成り代わりが終了する。ただ国広はかつての主を忘れられないので金糸雀のことは審神者名で呼ぶ。人前では金糸雀が不利にならないよう主呼びしている。金糸雀も刀剣達も了承。消滅を望まずいつかくる終わりまで、いち刀剣男士として過ごすことにする。
山姥切国広
「改変された歴史の先」で顕現した刀剣男士。いくら刀剣男士といえど歴史のすべてを知っているわけではないので、国広自身はいつの時代の何が改変されたか知らない。ただその改変された世界では"関東大震災で焼失したとされる山姥切国広は見つかっていない"まま2200年代に突入している。その影響か定かではないが特命調査が存在しない。山姥切長義が初期刀とされた世界であり、山姥切国広は他の焼失した刀剣と同じような立ち位置だった。しかし文献に名が残り山姥切の号をもってしまったことで、現存の有無に関わらず山姥切長義からの感情はこちらの世界線とあまり変わりはない。
見た目・能力値・性格・記憶はこちらの世界の山姥切国広とほぼ同じ。恐らく同位体ですら違う世界から来たとは気付かない。刀解や破壊で魂がどうなるか(本霊に還るのか消えるのか、還るとしても本霊が受け入れるか等)が全くの未知数。国広が考えたのと同じようにいっそ魂ごと消滅させるべきとする人間もいた。しかし誰かが漏らしたのか発言力の強い審神者を筆頭に、刀剣男士の人権を主張する刀剣男士擁護派から「刀剣男士として生きてもらうべき」と強い意見があがり、政府も処遇に困っていた。
金糸雀の提案とそれが出来る実力にびっくり。ただそのおかげで、離れで目指せ消滅ライフを過ごしていた。ぼーっと過ごしたり金糸雀の提案通りかつての本丸に思いを馳せたり、お世話にくる金糸雀と少し雑談してたりとのんびり過ごしていた。そのおかげで心に余裕ができてそこで初めて「そもそも人間の金糸雀が刀剣女士のふりをするってむりがあるのでは」と思い至る。実力は確かだが手合わせは、演練は、女の見た目は目を引くし良からぬ人間の目に止まったら……。と尋ねてみたら実は何度か連れ去られかけたことがあるとあっけらかんに答える金糸雀。金糸雀の雑談から主としても国広としても慕われていることを知っていたのでとても焦る。
「頼む大人しくしていてくれ…頼むから…、せめて今後外に出る時は誰かと一緒にいてくれ……」
国広にゆとりが出来始めた頃に、主と交流できない刀剣たちにも意識が向くようになる。自分は主との会話や交流で沢山助けてもらった、親しくなれた、主の刀で良かったと思えた。彼らはどうだろう。姿も性格も分からぬ主に仕えるのに不安があるのではないか、主だから言えることもあるだろう、このままでいいのだろうか。
そんな折に、まるで見計らったかのように金糸雀からノートが渡される。
「交換ノートって形で交流してみたら、って提案したんだ」
渡されてもそうであるなら交流すべきは自分ではなくあんただろう、と突き返す。しかし「まあまあ、今は君が主なんだから」と返事を促される。
いいのかこれで、と悩みながらどこか言い訳するように書き連ねた返事は、きっと主としては正しくない。けれどそこから続いた交流はとても暖かいものだった。
国広は気付いていないが交流をした刀剣達が主の秘密を予想し始めたあたりから、ノートや手紙に「どんなあなたでも共にいたい」ような言葉が綴られるようになる。国広は自身への言葉だと思っていないが刀剣からすると実際に主でなかったとしても国広へ向けた言葉。
消滅ではなくいち刀剣男士として過ごすことを決めてからは、金糸雀への護りの姿勢が誰よりも顕著に出る。自分が護りたかった主の代わりかもしれないし、これだけ世話になった恩返しかもしれない。
自分がいなくなったことで政府内でどうなったか知らないが正直興味もない。
山姥切長義
主の事知りたい!な普通の山姥切長義。外との交流はそれなりにしているので「山姥切問題」ももちろん知っている。事前に聞いていた国広のことや他の同位体から聞く国広に比べて、偽物ちゃんは見た目だけでなく中身も随分亜種なんだなとしみじみ。連れ去られかけたことがあるの話は女士だからというのもあるだろうが、本人の性格や付き添いで外にでかけた時の様子を見て、性格に惹かれたのもあるだろうと一層気を引き締める。連れて行かせないぞの強い意志。
写しの中でも最高傑作な偽物くんに本当は「もてあた」したいけど出来ないと歯噛みする同位体がほとんど。そんな中、変に拗れることもなく素直な偽物ちゃんに思う存分「もてあた」出来る自分はかなり恵まれていると気づく。少しおちゃめな偽物ちゃんは本丸のみんなに「女だから広子ちゃんでもいいぞ」と言ったらしく、偽物ちゃんは山姥切ではなく広子ちゃん呼びされている。見た目も性格も亜種なせいか、山姥切=山姥切国広の印象がさほど強くなく「広子ちゃんは広子ちゃん」な空気感。気づけば「山姥切といえば俺」が何もしていないのに認識を改めることが出来ていた。それはそれで複雑。自分に対する主の考えは全く分からないが冷遇されているわけではないのは他の刀剣を見ても分かる。編成も内番も組まれるし給金も支払われる。皆の話を聞いているとどうやら全く交流ができないわけではなさそう。ということで倣って交換ノートを始めた。
返ってきたノートに添えられた手紙は主の知り合いの偽物くんからだと知って「なんで俺に」と疑問。既に自本丸がなく会いたいものに会えないなかなかの訳ありだという。「手紙の内容に疑問が生じるかもしれない。相手が答えられないと言ったら深掘りしないであげてほしい。かなり特殊な立ち位置にいるから、彼のことは内緒にしてね」とあるので、主がその偽物くんを気にかけていることにちょっとモヤモヤ。ただその偽物くんについて触れたのは最初だけだったし、主が自分を気にかけてることも交流を重ねて理解したのでまあいいか割とチョロい。
女性らしい柔らかな雰囲気でしかし整った綺麗な主の字が好き。あと主が可愛いものや甘いものが好きと知ってから、万屋街に出掛けたら何かと「あれ主好きかな」と気になるようになる。
他の刀剣達は実質国広と交流しているようなものなので、他の刀剣が知る主の好きなものと長義の知る主の好きなものは異なる。長義が主を気にするようになってそのことを知った他の刀剣は、相手が本歌山姥切だからバレないようにしているのかな、とあえて突っ込まない。だから長義も当然気付かない。
偽物ちゃんへの庇護欲と主へのもっと仲良くなりたいの気持ちに「もしや自分は恋しているのでは?2人に?なんて不誠実な…!!」と苛まれる。最終的に実は同一人物だったと知って「じゃあ問題ないな」と開き直る。が、「そもそもこれは恋なのか…?」と結局悩むはめになる。
金糸雀
かつて鬼殺隊に所属していた柱の1人「宇髄天元」の子孫の1人。抜け忍の宇髄天元の子孫の1人が宇髄天元の弟の子孫にバレたことで宇髄弟一族の元に引き戻される。忍びはもはや歴史上の存在、暗殺者として育てられ子を作らされ、その子もまた、と続いていた。金糸雀は先祖返りで身体能力が高い。天元ほどではないが、極短刀なみの偵察力を持つほどには聴覚が優れている。
鬼が再び現れたことで、鬼殺隊の存在を知っていた宇髄本家はより地位を確立させるために、鬼殺隊より先に鬼を殺すことで政府からの信用を得ようとした。しかし産屋敷家の力は今も尚顕在で、台頭するまでには至らなかった。
暗殺者としてだけでなく鬼殺しとしても育てられた金糸雀は、跡継ぎのため子をなす道具となるか、鬼殺隊の頭である産屋敷を暗殺するかの2択を迫られる。そのどちらも嫌だった金糸雀は、鬼殺隊サポートの「藤の家」の助力を得て一家から逃げ出すことに成功した。かといって鬼殺隊にいればいずれ本家と相まみえるかもしれない。悩んでいると藤の家で受けた身体検査にて審神者の適性があると勧められた。そうして審神者になった。
育て手がいないので呼吸は独自に編み出した。爆音だった「音の呼吸」に対し無音の「静の呼吸」。
銃刀法のある日本での暗殺は、銃や刀のほうが圧倒的に殺すのは楽だが足が付きやすい。だから日常にあふれる日用品で凶器になりえるものを凶器として扱う訓練を受けていた。割り箸1本、針1本で殺しが可能な腕前。それを披露することは恐らく無い。
国広との成り代わり生活が終了したあとは、審神者として本来あるべき姿で生活する。
余談
鬼殺隊への諜報活動の中で我妻善逸の子孫にあたる