ポケットに入らないモンスター
3
ヒーローが授業するって凄いよね。ヒーローって芸能人に限りなく近い公務員だから余計にそう思う。ただ、案外普通でつまんないとか正直思った。カービィとピカチュウは取っても大人しくしてる。私の頭と肩で。これが地味に肩が凝るんだ…。
(4かな)
マイク先生の英語の授業、あのテンションでずっと続けられると辛いけど予想に反して落ち着いた授業だ。それはそれでつまらん。私も感じた思ったより普通、という空気が教室に漂ってる。
午後は平和の象徴、オールマイトによるヒーロー基礎学だ。教室内の空気もこれまで以上に落ち着きがない。その空気に感化されたのかピカチュウもちょっとそわそわしている。カービィは八百万さんごしに峰田を見つめては涎を垂らしかけてる。…ブドウじゃないぞ、食うなよ。
最初のヒーロー基礎学は戦闘訓練だって。しかもコスチュームに着替えてグランドβ、確か入試と同じ会場だった気がする、に集合だと。市街地で戦闘訓練とかまさにヒーロー科って感じ。
私のコスチュームはぱっと見正直ヒーローっぽくない。空色のパーカーで中は黒のTシャツ、ベージュのスキニーで黒いブーツ。腰にはカービィのコピー用にと諸々が入ったウエストポーチをつけている。ヒーローっぽいってよりただの普段着。
「召可のコスチューム見たらちょっと安心した」
着替え終えるのが早い私と響香は他の女子を待っているとそう言われた。
「え?なんで?」
「ウチのコスチュームってヒーローっぽくないじゃん、ぱっと見。ああいうの見てたらこれで大丈夫かなってちょっと不安になった」
ああいうの、ってのは身体のラインがはっきり出る服を着てるお茶子や梅雨ちゃん、高校生でそれってあり名の?つか寒そうと不安になる八百万さん、パッと見てお洒落で人の目を引きやすいアシミナ、もはや全裸の透のことだね。
「確かにみんなの見てると、私らコスチュームってよりただの普段着だよね」
「ね。でもウチあれ着るのは無理」
「私も無理、見るだけで充分」
パツパツした服も露出の激しい服も着たくない。分かるよ、その気持ち。