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VSJK1

No.14

乙女ゲー転生についてもういっこほんわり考えてるのは、
「乙女ゲーの主人公に転生したけど攻略とかどうでもいい」夢主と
「乙女ゲーの攻略対象に転生したが許嫁も将来も嫌なので自由になりたい」元刀剣男士による
ドタバタギャグコメディー……ギャグ?書けるのか?私に?

夢主はとうらぶユーザーだったんだけど、有志が作った刀剣男士を攻略する同人乙女ゲーとしてちゃっかりプレイ済み。
ただ乙女ゲーを知らなすぎて「こうはしないやろ」と素でプレイした結果バッドエンドになった。悲しみ。
刀剣男士側はその乙女ゲーのボイス担当をしていたから自分のパートはある程度知っている。
誰が作ったかわからないが「審神者と刀剣男士に大変不人気な乙女ゲー」として有名だった。

「攻略どうでもいい主人公になんとか落としてもらおうとする乙女ゲー転生物語」
タイトルながっ
略称は「VSJK」とかにしとこ。刀剣男士側が主人公の「J(常識的に)K(考えて)」と戦うみたいな。

 入学式が滞りなく終わり、担任に寄る説明も終わり下校時間。
 乙女ゲーに、しかもどうやら主人公ポジに転生したみたいだが人のポケモンを奪わないじゃないが手を出そうとは思わない。というかやれ政治家の子どもだの大企業の子息だの、住む世界が違いすぎて入り込もうとすら思わない。
 いろいろあってこの学校に通うことになってしまったけれど、高校卒業したら外部の大学進学して、両親がこじんまりと経営しているパン屋さんの後を継ぎたいなぁみたいな将来設計をぼんやりと考えていた。
 なんてぽやぽや考えながら校門へ向かっていると、突然目の前に誰かが来た。仁王立ちして腕を組み背筋を伸ばしながら睨むように見下ろしてきたのは、
(え、山姥切の長義さんじゃないですか)
「………君、特待生だよね」
 自己紹介もなくやはり何故か睨まれたまま尋ねて……いやこれは尋ねてるというより確認だな。
「……あ、はい、そうですけど……何か……?」
 恐る恐る尋ねればスゥっと息を吸ったかと思うと「違うっ!!そうじゃないっ!!」と地団駄を踏み出した。ご乱心か?
「特待生だろ!!入学初日に遅刻して入学式中に礼儀も詫びなく入り込んで場を騒然とさせるんだろ!!相手が誰であろうが敬語も使わずそしてドジふんでかわいこぶって俺たちを落としてくんだろっ!!」
「えー……」
 それはあの乙女ゲーでの話では?あ、今その乙女ゲーにいるから私は本来そういう立ち回りをするはずだったのか……。というか何故それを知ってるんだ?よくわからんけどとりあえず。
「入学初日に遅刻は流石に意識低すぎでは……?特待生として誘致された以上、相応の立ち振舞をすべきかと……」
「正論っ!!」
 ダンッダンッと踏むだけ踏んで何が納得出来ないのか不満そうな表情で相変わらず睨んでくる。え、こわ。
「えっと、家のことしないといけないので失礼しますね……?」
「そうだね!一人暮らしだよね!自分で家事するの偉いね!でもそこは「今からうちでお茶飲むんだけど一緒にどうかしら?」って聞くところだろ!」
「え、なんで知ってるんですか…こわ……というかそれなら尚初対面の男性を一人暮らしの家に連れ込むとかあまりよろしくはないのでは」
「自衛できて偉いね!!あとストーカーではないから!!怖がらないで!」
 なんだこの山姥切長義、情緒不安定か?こんな面白い人なん、うちの本丸の長義ならもっとクールだからすげえ面白い。まあうちの本丸といってもあっちもゲームだったけども。
「とにかく!明日からはきちんと俺を落としにかかること!!」
「………えー…」
 この人いたよな、許嫁、それもメンがヘラってる系の。
「えーじゃない!まったくどうなってるんだ」
 いかにもぷんすかと擬態語が付きそうな態度で「じゃあね!気をつけて帰ってね!」と去っていった。
 ……いったいぜんたい、なんなんだ……close


#刀剣乱夢 #VSJK